この記事で確認できたことと、確認できなかったこと
「Aidemy 給付金」で調べると、いまも「最大80%還付」「上限64万円」といった案内が並びます。ただし個人向けの Aidemy Premium は2026年6月30日で終了しており、旧料金ページは問い合わせページへ転送されます(2026-08-08 に転送の継続を確認)。
本記事の受講料は、終了前の2026年6月12日に取得した記録です。いま申し込める価格ではないため、「そのとき申し込んでいたらいくら戻ったか」と「その物差しを次の候補にどう使うか」の2点を軸に整理しました。後半では、その物差しを現行の候補であるキカガク長期コースに当て、還付率の段ごとの実質負担と立替の期間を試算しています。
還付額はすべて試算です。専門実践教育訓練給付制度の還付率と年間上限額を受講料に当てはめて計算したもので、実際の支給額は申込時点の講座指定と本人の要件で決まります。受講・修了はしていないため、カリキュラムの体験談ではありません。
確認できなかった主な点は次のとおりです。本文でも該当箇所に「要確認」と付けています。評価の前提は運営方針・評価基準をご覧ください。
- 支給額の計算基準が税込の受講料か、税抜の受講料か
- 入学金や教材費が還付の計算対象に含まれるか
- 受講が年をまたぐ場合や、同じ年に複数の指定講座を受ける場合に年間上限がどう当たるか
- 終了した Aidemy の講座が、給付金の指定からいつ外れたか
「Aidemyの給付金」はAidemy独自の制度ではない
Aidemyが案内していた還付は、国の専門実践教育訓練給付制度によるものです。スクールが独自に値引きしていたわけではないので、Aidemyが個人向けをやめても制度そのものは残っています。
消えたのは「指定講座の1つ」です。給付の指定はスクール単位ではなく講座単位で付くため、同じ会社でも対象のコースと対象外のコースが混在します。実際、侍エンジニアでは同じ価格帯に、対象として案内されるコースと対象一覧に見当たらないコースが並んでいます(対象状況は要確認。内訳は侍エンジニアの料金を試算した記事)。
つまり「Aidemyがなくなった=給付金でAIを学ぶ道が閉じた」ではありません。閉じたのは特定の入口だけで、探し直す先は「AIスクール」ではなく「指定講座の一覧」になります。
受講料80万円が分岐点:ここを超えると「最大80%」から離れる
「最大80%」は率の上限で、金額の上限は別に決まっています。80%が適用される場合の年間上限として64万円が案内されており、受講料に率を掛けた額がこれを超えると超過分は戻りません。
そこで、頭打ちが始まる受講料は割り算1回で出せます。64万円 ÷ 0.8 = 80万円。ここが分岐点で、これを下回る講座は率どおりに戻り、上回る講座は超えた分がまるごと自己負担になります。Aidemyの3コースのうち6ヶ月と9ヶ月が頭打ち側に入るのは、この線を越えていたからです。
分岐点を越えたあとは、実効率が「64万円 ÷ 受講料」に置き換わります。分岐点までは受講料がいくらでも実効率は80%で横ばい、そこを境に下がり始めるという段差のある形です。
- 受講料 60万円 → 還付48万円・実効80%(分岐点の内側)
- 受講料 80万円 → 還付64万円・実効80%(ちょうど分岐点)
- 受講料 100万円 → 還付64万円・実効64%
- 受講料 120万円 → 還付64万円・実効53%
- 受講料 160万円 → 還付64万円・実効40%
分岐点を超えた範囲では、受講料が2倍になると実効率は半分になります(80万円→160万円で80%→40%)。80万円以下ではこの関係は起きず、受講料が変わっても実効率は80%のままです。
注意したいのは、戻る金額そのものは長いコースのほうが多いという点です。それでも受講料の増え方に還付が追いつかないため、実効率は下がります。Aidemyの3ヶ月と9ヶ月を並べると、受講料の伸びが約2.0倍なのに対し、実質負担は約4.1倍まで膨らむ計算でした。額と率は分けて見てください。
候補を見るときは、公式ページの「最大80%」ではなく受講料の桁を先に見てください。80万円という1本の線を覚えておけば、率の案内を読む前に自分がどちら側にいるか判定できます。
上限は年単位:開始月しだいで戻る額が変わることがある
64万円は年間の上限として案内されています。1つの講座で使い切る前提なら前節の計算で足りますが、そうでない場合は当たり方が変わり得ます。
- 同じ年に2つの指定講座を受ける → 2講座の合計に対して64万円が天井になる可能性がある(要確認)
- 受講期間が年をまたぐ → 年ごとに上限が当たり、頭打ちが緩む可能性がある(要確認)
後者が効くのは、まさにAidemyの9ヶ月コースのような長い講座です。前節の試算は「1年のうちに使い切る」前提なので、年をまたぐ設計なら実効率はこれより良くなる余地があります。逆に、短い講座を年内に2つ詰め込む計画は、想定より戻らない側に振れます。
いずれも公開情報では確定できませんでした。ただ、確認すべき質問の形ははっきりしています。「この受講開始日で、その年に自分が使える上限はいくらか」。申込前にハローワークで受講開始の予定日を伝え、この一文で聞けば必要な答えが返ってきます。
開始月を1〜2ヶ月ずらすだけで年またぎの有無が変わる講座もあります。日程に融通が利くなら、要件の確認と同じタイミングで開始月の候補も相談しておくと、あとから取り返せない差を避けられます。
代わりの講座は、スクール名ではなく講座指定から探す
指定は講座単位なので、探し方も講座から入るほうが確実です。手順は3つにまとめられます。
- 厚生労働省の教育訓練講座の検索システムで、分野(情報関係)と地域・通信の条件を入れて対象講座を絞る
- 候補の運営元の公式ページで、受講料(税込)・入学金・教材費を確認して総額を出す
- その総額を80万円の線と比べ、還付率と上限を当てて実質負担を自分で計算する
スクール名から入ると、サイトに書かれた「最大80%」だけを見て総額の確認が後回しになります。逆の順番にすれば対象かどうかが先に確定するので、そもそも払えない候補を検討し続けずに済みます。
あわせて見ておきたいのが指定の有効期限です。講座の指定は更新制で、いま一覧に載っていても自分の受講開始日に有効かどうかは別の問題になります(要確認)。ここもハローワークで受講開始の予定日を伝えて確認してください。
現行の候補のうち、AI・データサイエンスの体系を学ぶ枠のキカガクは、次の節で還付率ごとの実質負担と立替の期間を試算します。実装寄りのスクールの総額と給付区分は侍エンジニアの料金を試算した記事、Aidemyを候補にしていた人が判断軸だけを引き継ぐ話はAidemy(アイデミー)とキカガクの比較にあります。
キカガク長期コースを還付率の段ごとに試算すると
AI・データサイエンスを体系で学ぶ枠で、いま申し込める指定講座の候補がキカガクの長期コース(6ヶ月・792,000円・税込)です。受講料は2026年7月20日に公開情報(公式・集計サイト)で確認した値で、入学金の有無は公開情報で確認できませんでした(要確認)。
792,000円は前の節で出した分岐点80万円の内側なので、上限で頭打ちにはなりません。代わりに効いてくるのが、自分がどの段の還付率に乗るかです。受講料に各段の率を当てると次のようになります(いずれも試算)。
| 還付の段 | 還付額 | 実質負担 | 6ヶ月で割った月あたり |
|---|---|---|---|
| 80%まで通った場合 | 約633,600円 | 約158,400円 | 約26,400円 |
| 70%の場合 | 約554,400円 | 約237,600円 | 約39,600円 |
| 50%(基本部分のみ)の場合 | 396,000円 | 396,000円 | 66,000円 |
| 給付金が使えない場合 | 0円 | 792,000円 | 132,000円 |
年間上限(50%の段は40万円・70%は56万円・80%は64万円)に照らしても、どの段の還付額も上限の内側に収まります。上限額はキカガクの給付金申請の流れで整理した公的資料の値です。
段差の幅は一定ではありません。80%から70%に落ちると実質負担は1.5倍、70%から50%ではさらに約1.67倍、50%から対象外になると2倍に跳ねます。上乗せが1つ取れないことより、そもそも対象外になることのほうが影響は大きいという順序です。
80%の段には注意が要ります。この段は修了後の賃金が受講開始前より5%以上上がった場合の追加分で、キカガクが配布している資料は給付率を50%・70%までしか案内していません(2026-09-24取得の資料による。80%区分の適用は要確認)。資金計画を80%前提で組む前に、ハローワークとキカガクの両方に確かめてください。
月26,400円なら、有料のオンライン講座を数本と書籍を買う予算感に近く、質問できる相手が付くぶんの妥当性を検討しやすくなります。一方で月132,000円は、独学の教材費とは性質の違う支出です。自分がどの段に乗るのかを申し込みより先に確かめる意味は、この幅の大きさにあります。
立替が必要な期間と、入金までの時間差
給付金で効いてくるのは、金額よりも時間差です。給付金は値引きではなく後払いのため、受講開始の時点では受講料の満額(または分割払い)を自分で用意する必要があります。
基本部分は6ヶ月の支給単位期間ごとに申請する設計で、6ヶ月の長期コースでは申請の機会が修了時の1回になります(入金は受講開始から6ヶ月が過ぎたあとで、申請と審査の期間がさらに乗ります・要確認)。上乗せ分はもっと先で、修了や就職・在職の継続、賃金の上昇といった確認を経てから支給されます(時期・回数は要確認)。
- 立替の目安: 受講開始から半年強のあいだ、受講料を自分で持つ前提で組む
- 分割払い: 手数料は還付の対象外になり得る(要確認)。増える分は戻らない計算で見る
- 併走する支出: PC・通信費・書籍などは還付の対象に含まれないことが多い(要確認)
家計面の判断材料は「還付が入るまでの半年強を、生活費とは別枠で回せるか」です。ここが厳しいなら、受講開始を数ヶ月ずらして原資を先に作るほうが、学習の途中で止まるリスクを下げられます。受講前の手続きの順番と受講後の申請期限も、同じ申請の流れの記事にまとめています。
よくある質問
入学金や教材費も還付の計算に入りますか?
公開情報では確定できませんでした(要確認)。実務上ありがちなのは、公式ページの支給例が受講料に対して案内され、入学金は別に請求されるケースです。侍エンジニアがこの形で、入学金を足した総額で見ると割戻しの割合は下がります(区分と計算根拠は要確認。内訳は侍エンジニアの料金を試算した記事)。見積もりを取るときは「還付の計算対象になる金額」と「請求される総額」を別々に出してもらってください。
同じ年に2つの指定講座を受けたら、上限はどうなりますか?
64万円は年間の上限として案内されているため、同じ年に受けた講座の合計に対して天井が効く可能性が高いと考えられますが、公開情報では確定できませんでした(要確認)。短い講座を年内に2本という計画は、1本ずつのつもりで試算すると戻る額が想定を下回るおそれがあります。受講開始日を伝えたうえでハローワークに確認してください。
受講料が上限を超える講座は、選ばないほうがいいですか?
上限を超えること自体が問題なのではなく、超えた分が自己負担として残るだけです。判断すべきは「その自己負担額を払う価値があるか」で、率だけで比べると高いコースほど不利に見えます。戻る金額を引いた実質負担で並べ直してから決めてください。
Aidemyが給付金の対象講座から外れたのはいつですか?
公開情報では確認できませんでした(要確認)。分かっているのは、個人向けの新規申込が2026年1月9日で受付終了し、サービス自体が2026年6月30日で終了したことまでです。指定の解除時期は厚生労働省の検索システムでも遡って確認しにくいため、過去の案内ページに残る「最大80%」の表記を現在の条件として読まないよう注意してください。
途中でやめた場合、給付金はどうなりますか?
専門実践教育訓練給付金には受講状況の要件があり、支給単位期間ごとの受講実績が足りないと支給されないことがあります。修了や就職を条件とする上乗せ分は、途中でやめれば対象外です。やめる可能性が残る段階で申し込むより、無料講座で続けられるかを確かめるほうが安全です(要件の詳細は要確認)。
